【絵本・読み聞かせ】買わないと絶対に損! 面白い絵本 2021年編
今回は、月ごとにランキング形式で紹介してきた面白絵本の総集編です。
月の中でも数十冊の中から厳選した絵本を紹介してきましたが、
今回はその決算として1年間に私が読んだ300冊以上の絵本の中から
この絵本は面白かった!!
読み聞かせにぴったり!
子どもが楽しそうに絵本を読む姿が目に浮かぶ!
といった視点で3つの本をセレクトしました。
私、個人の嗜好に偏らないように、クラスでの読み聞かせ実績や
実際の子どもたちからのアンケートも元にランキングを作成していますので
どの絵本も確証をもって推薦できる絵本ばかりです。
1位から3位までのランキング形式で紹介しますので、
ぜひ気になった方は、学級文庫や読み聞かせリストに入れてみてください。
人気になるのこと間違いなしです!それでは、いってみましょう!
第3位 もっかい
「子どもに読み聞かせをした時のあるあるを絵本にする発想に脱帽」
第3位はエミリーグラウェットさんの書かれた「もっかい!」です。
主人公はあるドラゴンの親子です。
子ドラゴンが寝る前に絵本の読み聞かせをせがむと、親ドラゴンが読み聞かせを始めます。
読み聞かせも終わり、めでたしめでたしと読み聞かせが終わるかと思いきや、
すかさず子ドラゴンが「もっかい!」と再度読み聞かせすることをせがみます。
こんな経験、みなさんもあるのではないでしょうか、特に子どものお気に入りの絵本やミニゲーム、マジック、ダンスをした時に終わるやいなや「先生!もう一回やってください!」と言われたことがあるはずです。
そんな子どもと接している時のあるあるを絵本にするという発想が凄いです。
まさに脱帽です。
分かりやすく言うと、斬新な切り口でこんなお笑いもあるのかと驚かせてくれるバカリズムさんのネタのようなものです。
さて、物語の方はというと「もっかい!」とせがまれた親ドラゴンは仕方なく、
もう一度同じお話を読み聞かせしますが、終るやいなや、そこでもまた「もっかい!」と再読をせがまれます。
再三読み聞かせをせがまれた親ドラゴンは、自分の方が眠くなってきて、だんだんと読み聞かせが適当になってきます。
この適当さがとても面白いです。
そして最後には、この絵本の主人公の親子が人間でもクマでも犬でもネズミでもなく、なぜドラゴンなのかという納得のオチまでついています。
絵本をもう一回読んでとせがむ様子を絵本にするアイディアだけでも驚愕なのに、
最後の最後まで読んだ人を驚かせるような仕掛けまで用意されていて徹頭徹尾に面白さが凝縮された絵本でした。
余談ですが、作者のエミリーグラウェットさんはイギリスの方だそうです。
「ぜったいに○○しちゃだめ」シリーズが有名なアメリカ人のビル・コッターさん同様に
海外の絵本作家の方は起承転結のある絵本という枠組みから一歩も二歩も外れた独創性に富んだ面白さを生み出すのがとても上手な印象があります。
ぜひ教室で親ドラゴンのように子どもに読み聞かせをさがまれながらも最後の仕掛けで子どもたちをびっくりさせてあげてください!
第2位 でんせつのじゃんけんバトル
「知名度日本一のゲームの祖先がコレだ!」
第2位はドリュー・デイウォルト文、アダム・レックス絵、中川ひろたか訳の「でんせつのじゃんけんバトル」です。
舞台はとある一軒家。
裏庭、書斎、文房具の3つの場所にそれぞれ国があり、その中ではトイストーリーよろしく、洗濯ばさみやプリンターや冷蔵庫のチキンナゲットたちがそれぞれの意思をもって暮らしていました。
そして、その3つの国には、
裏庭国のグリグリ(石)、書斎国のパーペ(付箋)、文房具国のチョッキンナ(はさみ)
という全戦全勝の最強の戦士がいるのでした。
3人?の戦士たちは文字通り最強であり、自分の国では負けることはおろか苦戦することすらない戦いばかりに飽き、自分と共に張り合えるような強敵を夢見て過ごしていたのです。
そんな折にグリグリ(石)とチョッキンナ(はさみ)とパーペ(付箋)が出会います。
3人はまさに自分の力では倒せない強敵を見つけ、思う存分戦いに明け暮れるのでしたというお話です。
この絵本の面白さは大きく分けて3つあります。
1.勝敗の予想のしやすさ
冒頭はそれぞれの国でグリグリやパーペたちが洗濯ばさみやプリンターといった敵と戦うのですが、それぞれ最初に最強と紹介されていることから子どもたちもグリグリたちが勝つんだろうなと予想することができます。
そして、後半のグリグリ、パーペ、チョッキンナたちの戦いは絵本の題名からこの絵本の題材がじゃんけんであることを感じ取っている子どもたちからすると、さらに勝敗の予想がしやすくなっています。
自分が勝つと予想しているキャラクターが次のページでしっかり勝っているという展開は、子どもたちにとってとても面白く感じる要素の1つであるようです。
2.言葉選び
この絵本は外国の方の書かれた絵本ですので、翻訳を担当された中川ひろたかさんのセンスという言い方もできますが、
戦う前の会話や相手への煽り方がなんとも海外映画に出てくるようなウィットに富んだ言い回しなのです。
決して道徳的に褒められた言葉ではないのですが、
このウィットに富んだ言い回しが、この絵本のアメコミのような線が太く、色がはっきりしているキャラクターや作風に
絶妙なスパイスとなっているのもまた1つの事実かと思います。
3.演出の仕方
この絵本では、キャラクター同士が何度も戦い合うのですが、その際に必ず「グリグリと洗濯ばさみのたいけつ!」といったページが差し込まれます。
しかも、そのページだけは、話の前後の背景とは全く異なるバトル用の背景が描かれているのです。
分かりやすくいうと、スマブラや格闘ゲームの対戦キャラクターと選んだ時に似ています。
このいかにもこれから戦いが始まるぞ!という演出がバトルへのワクワク感を高めているのは間違いないでしょう。
しかも前述の通り、そのバトルの勝敗は自分が予想した通りとなれば子どもたちが面白く感じるに決まっています。
読み聞かせ後には、この絵本を片手にじゃんけんし合う子や、この絵本を音読している子の周りに5.6人の人だかりができるほどの人気でした。
ちなみにですが、教科書によってはじゃんけんの3すくみを子どもたちが考える1年生の国語の教材があったかと思います。
ご自身の教科書にあれば最高の導入教材になりえるでしょう。
だれもが知るじゃんけんを元にした絵本で子どもたちと一緒に興奮できる1冊です。
第1位 ぼくのがっこう
「身近×想像力=面白い」
栄えある2021年の第1位は鈴木のりたけさん作の「ぼくのがっこう」です。
これは以前「絶対に買うべき絵本シリーズ」でも紹介した鈴木のりたけさんのぼくの○○シリーズの最新作です。
正直、私としては、「ぼくの○○シリーズ」というだけでも買いだなと感じていたのに、
テーマが「がっこう」ということで即買い決定の一冊でした。
このぼくの○○シリーズがどんな展開か知らない方のために改めて解説すると、
普通の学校に飽きた主人公の男の子がこんな学校があったら面白いんじゃないかなと妄想するお話です。
鈴木のりたけさんの想像力がこれでもかというほどに詰め込まれています。
しかも、学校の入り口が滝になっている学校や下駄箱に鳥が住んでいる学校など、
一見思いついたとしてもナシにするようなアイディアも面白く昇華させているところなんかは感服の一言です。
そして今回のぼくのがっこうがこれまでのぼくの○○シリーズと違うのは、
今までは面白いトイレやお風呂という1冊につき1テーマだったのに対して、
今回は学校ということで、面白い学校、面白い机、面白い椅子、面白い先生など
実にバラエティー豊かでユニークな妄想が繰り広げられています。
いろいろなアイディアを見ながら、
子どもたちとどの机・椅子が良い、こんな先生が居たら学校が楽しそうと話すのは盛り上がること間違いなしです。
物語の後半では、居なくなった校長先生を探す絵探しの展開になるのは「ぼくの○○シリーズ」恒例です。
ページの隅隅まで細かい展開がてんこもりのページが続くので大画面での読み聞かせを強く強く推奨します。
子どもにとって最高レベルで身近なテーマであり、教室で読むのにこれほど適した絵本はないといえる1冊です。
絶対に買うべき絵本シリーズ 第3弾 「ぼくの○○シリーズ」
今回は絶対に買うべきシリーズの第3弾として、鈴木のりたけ先生の書かれている「ぼくの〇〇シリーズ」の魅力を解説していこうと思います。
まず作者の鈴木のりたけ先生ですが、ぼく[…]
終わりに
【絵本・読み聞かせ】買わないと絶対に損! 面白い絵本 2021年編いかがだったでしょうか。
今回紹介した絵本は、どれも最後の最後のページまで面白さが抜かりなく仕掛けられていた絵本でした。
こういった絵本に出会うと、起承転結だけですでに買おうと思っている購買意欲の最後のだめ押しをされる感覚があります。
総じて面白い絵本というのは無駄な展開が無く、全ページに面白さが凝縮されていると再認識した3冊でした。
2022年もステキな絵本に出会い、みなさんに紹介することができるのが楽しみです。
これからも子どもたちと絵本を通して良好な人間関係を築き、
スマートな教員を目指していきましょう!
では、また。次の記事で Thank you