買わないと絶対に損! 読み聞かせ用 面白絵本2選 2月編
今回は、私が2月に読んだ30冊以上の本から、
この絵本は面白かった!!
読み聞かせにぴったり!
子どもが楽しそうに絵本を読む姿が目に浮かぶ!
といった視点で2つの本をセレクトしました。
ぜひ気になった方は、学級文庫や読み聞かせリストに入れてみてください。
人気になるのは間違いなしです!
それでは、いってみましょう!
ねこ いる!
「ねこが、ねこが、ねこがいる!!」
1冊目は、たなか ひかるさん 作・絵の「ねこ いる!」です。
この たなか ひかるさんという方は、絵本作家でもあり、ギャグ漫画家でもあり、
なんと お笑い芸人でもあるという異色の絵本作家さんです。
また、絵本デビュー作の「ぱんつさん」が第25回日本絵本賞を受賞するなど、今大注目の作家さんです。
さて、今回紹介する「ねこ いる!」の中身ですが……
はっきりいってありません。
本当に中身がないのです。
「ねこ いる!」は、単純に面白い! の方にステータスを全降りしており
読むだけで面白い、くだらないけど、ついもう一回読みたくなるような絵本です。
もっと分かりやすくするために、刃牙シリーズの作者 板垣 恵介さんの言葉を紹介します。
漫画とは、駄菓子またはジェットコースター。
栄養にならない、目的地にも近づけない。
だけど食べている時、乗っている時は純粋に楽しませる。
漫画はそれでいい。
この“漫画”の部分を「ねこ いる!」に置き換えると分かりやすいかと思います。
さぁ、「ねこ いる!」がどんな絵本か興味が沸いてきたのではないでしょうか。
それでは以下の解説で「ねこ いる!」の面白さを3つに分けて深掘りしていきます。
展開の単純さ
1つ目は、展開の単純さです。
「ねこ いる!」の展開としては
①ねこが隠れているページでねこを探す。
②ねこが勢いよく現れて、「ねこ いる!」とねこを発見する。
の繰り返しです。
この単純な展開のおかげで子ども達は、すぐにこの絵本の楽しみ方を理解することができます。
次の展開が分かっているからこそ、ねこが隠れているページでは食い入るようにねこを探します。
そして、ねこを見付けた子はもれなく、「ねこ いる!」と絵本の題名を叫びます。
その声が呼び水となり、まだ見付けてない子はより一層集中してねこ探しに取り組みます。
もうこうなったら、あなたのクラスは「ねこ いる!」の魅了されたも同然でしょう。
しかも、単純な繰り返しも後半になるにつれて、微妙に展開に捻りが加えられていきます。
予想は裏切るけど、期待は裏切らない展開に最後まで飽きずに読み進められるでしょう。
ねこのシュールさ
2つ目は、ねこのシュールさです。
この絵本に登場するねこは全て同じ目をしています。
表紙に描かれているねこと同じで、
真顔のような、喜怒哀楽のどれにも当てはまらないような目をしています。
いろいろな場所からねこが飛び出して現れるという奇想天外な様子に
この真顔のねこの表情は絶妙なスパイスになっていると感じます。
面白い展開に面白い顔をプラスする足し算の考え方ではなく
面白い展開にあえて、真顔をプラスすることで
面白い展開の方をより際立たせる、いわば引き算の考え方と言えるでしょう。
読み返したくなる隠し要素
3つ目は読み返したくなる隠し要素です。
この絵本は、前述の通り、単純といえば至極単純です。
しかし、最初こそ「ねこがいきなり飛び出してきた!」との感想だったのが
3展開目くらいになると「あれ、「ねこ いる!」の前のページにもねこ隠れてるじゃん!」と気付きます。
この隠れているのねこに気付くページは、私も妻も、子ども達も同じページだったことから、
作者があえて気付きやすいようにしているのだと思われます。
そうして気付いた後にふと
「あれ、ということは、前のページでも実はねこって隠れてたのかな?」
とページを戻ると、見つかりづらいように巧妙に隠れていますが、
ねこが隠れている一部を見つけることができるのです。
その後は何回読んでも、ねこが隠れているのがすごく目立つのに、
初めて読んだ時は全く気が付かない。不思議なものですね。
そうして最後の大オチは完全に読者に気づかせる気満々で書かれています。
しかも、その大オチを理解した後で最初から、また注意深く注意深くよーーく見ると、
またもやこの絵本に隠された秘密に気が付くことができるのです。
そんな秘密に気付く瞬間、脳内で考えることはただ一つ「ねこ いる!」なのです。
これが題名になっているという、作者の人に自分の脳内を見透かされてるようで開いた口が塞がりません。
一見単純すぎる展開に幾重にも張り巡らされた仕掛けや秘密の数々。
シンプルに見えて、実は、読めば読むほど面白さに気付ける濃厚な1冊です。
事実ベース、私は書店で2回読み直して購入し、子ども達から指摘されて再度読み返しました。
ねこがいるという事実で七色の面白さを放つ「ねこ いる!」おススメです!
大ピンチずかん
「きみのピンチは、みんなのピンチ!」
2冊目は、このブログでも常連の鈴木 のりたけさん 作・絵の「大ピンチずかん」です。
この絵本は主に子どもがなりやすい日常のピンチ(牛乳を入れすぎてこぼしてしまった)を
ピンチのなりやすさやピンチの度合いなどを数値化しながら紹介する1冊です。
表紙の男の子が必ず登場する以外は、物語性は特にないので、どこからでも読み始めることができます。
読みながら私も
「あぁ確かに自分が子どものころ、こんなピンチあったわ。」
「クラスに必ずこういうピンチを向かえてる子っているよな。」
と共感する場面が多々あったので、
必ずあなたが読み聞かせしたクラスでも響くはずです。
子ども全般に当てはまるピンチばかりなので、1年生から6年生まで楽しめる1冊です!
それでは以下の解説で「大ピンチずかん」の面白さを3つに分けて深掘りしていきます。
思わず「あるある!」と言いたくなるピンチの数々
1つ目は、登場する大ピンチのあるあるさです。
先述の通り、この絵本では、子ども時代に一度は経験したことのあるような、
または、子どもだったらこんな失敗しそうだなと容易に想像できるものが数多く載っています。
こういった、あるあるネタはお笑いにおいても、
あるある探検隊(レギュラー)、悲しいとき〜!(いつもここから)
あるある言いたい〜♪(レイザーラモンRG)、高校生あるある(土佐兄弟)
など、いつの時代においても、必ず〇〇あるあるをネタにした芸人さんが存在します。
あるある!と思うことが面白いと感じるのは日本人なら老若男女共通の感覚なのでしょう。
しかも今回紹介するのは子どものあるあるということで、
現役バリバリの小学生には特にヒットするする内容だと思います。
こういった子ども時代のあるあるを紹介した本には、
以前紹介した「いっさいはん」という1歳半の子どものあるあるを
まとめた絵本もオススメですので気になった方は以下のリンクをぜひどうぞ♪
読み聞かせたら必ず盛り上がる絵本3選【低〜中学年】
朝の会やちょっとした授業のスキマ時間、小学校の教員の皆さんは子どもたちとどう過ごしていますか?
ちょっとレクリエーション、小テスト、プリントなどなど、時間の使い方は[…]
さて肝心の「大ピンチずかん」で紹介されている中から、
共感の声が多数上がるであろう、大ピンチをいくつか紹介します。
・バッグの中で水筒の中身が漏れた
小学生から、大人まで起こりうる万人共通の大ピンチ。
この時、液体という、どこにでも入り込み、何にでも染み込む性質は悪魔と豹変します。
私も鞄の中でiPad Proが麦茶まみれになった時は水筒を緩く閉めた自分を呪いました。
学校では低学年を中心に1ヶ月に1回くらいはクラスの誰かしらがなってないでしょうか。
それが遠足の時なんかだとさらに悲惨。大ピンチです。
・眠たいのに眠れない
眠たい! のに眠れない!! しかもやることがない!!
この三重苦を一気に味わうのがこの大ピンチ。
羊も数えたし、明日のことも考えたし、現実離れした妄想もしたし、
何も考えないのも実践したし、ここで起きたら余計に目が冴えてしまいそう……。
しかも、なぜか大事な日に限ってなることが多い!大ピンチです。
クラスで読む際には、「みんなだったら眠れない時、どうしてる?」と聞けば、
各々の睡眠法大会が始まること必須です。
・髪の毛を切ったら思ったより短かった。
子どもながらに自分の髪型というのは気になるもの。
でも切ってくれる人は大人だし、要望をいうのは勇気がいるし、
最後に「こんな感じでどうですか?」と聞かれたところで、
「あぁ、いい感じですね、ありがとうございます。」位しか言えない方も多いのでは?
しかも、髪の毛という性質上、伸びるのを待つしか無いという悲しい対処法。大ピンチです。
私も小学校の修学旅行の前日にカッコつけようと髪を切りに行ったのに、
不恰好なショートヘアーにされて、修学旅行を本気で休もうかと考えた経験ありです。
(結果的には行って大満足、あの時行かなかったら一生後悔していたかもしれない……。)
いかがでしたでしょうか。あなたが体験したことのあるピンチもあったのではないでしょうか。
この他にも数多くのあるあると言いたくなるようなピンチが載っていますので、
読み聞かせしながら、子ども達と大いにあるある話に花咲かせることができるでしょう。
なりやすさやレベルなどの数値化
2つ目は、なりやすさやレベルなどの数値化です。
この絵本では、紹介されている大ピンチを
「なりやすさ」を星を使った5段階評価で分けています。
※星1つが最も頻繁に起こる。星5つが最も遭遇しにくい。
また、ピンチの度合いを大ピンチレベル1〜100でレベル分けしています。
※レベル1が最も軽微でレベルが上がるごとに深刻度合いが上がっていく)
という2つの指標で分けられています。
ポ◯モン図鑑を見ながら、
レア度や何レベルで進化や技を覚えるのが好きだった方は、特に面白いと感じるかと思います。
ただ、ここでのピンチのレベルはページを捲るごとに高くなっているようになっているだけで、
厳密な基準等はありません。(凄く深刻なピンチなのにレベルが低いなど)
そういうところは絵本として割り切って楽しめると良いかと思います。
作者のトリビア的な一言
3つ目は、作者のトリビア的一言です。
これは以前紹介した、鈴木のりたけさんの代表作「ぼくの〇〇」シリーズでも書きましたが、
この鈴木のりたけさんの絵本は、非常に細かく絵や設定が書き込まれている面白さがあります。
今回も紹介したピンチの解決策や、筆者の経験、似ているピンチなど読み込む要素満載です。
例えば「バッグの中で水筒が漏れた」というピンチでは、
水筒の中身で濡れたのがノートだと大ピンチレベルが+1、それが漫画だと大ピンチレベル+49
と書かれており、思わずクスッと笑ってしまう内容が盛りだくさんです。
このように読み込み要素が多すぎて、読み聞かせの時に全てを紹介することはできません。
しかし、それは逆を言えば、読み聞かせ後でも面白さの余地が残っているということであり、
気になった子ども達が読み聞かせ後にも1人読みをしたいと思うメリットとも考えられます。
読み聞かせの際には、これは紹介したい!
という部分をピックアップして子ども達に伝えてあげてください。
子どものピンチを、あるあるの笑いに昇華させる「大ピンチずかん」おススメです!
終わりに
買わないと絶対に損! 読み聞かせ用 面白絵本2選 2月編
いかがだったでしょうか。
今回は読み聞かせとしての面白さは勿論のこと、
読み聞かせ後に子どもたちが思わず1人読みしたくなるような絵本をセレクトしてみました。
私の理想としては、
読み聞かせから1人読みに繋がり、
1人読みをした子がまだ読んでいない子に面白さを広げて、
絵本の面白さが子どもから子どもへ伝播していったら最高だなと感じています。
今回紹介した絵本でクラスに共通した絵本の面白さがブームになってくれたらと思います。
これからも子どもたちと絵本を通して良好な人間関係を築き、
スマートな教員を目指していきましょう!
では、また。次の記事で Thank you!