【読み聞かせ】3~4月の絵本 BEST5

3~4月の絵本 BEST5

 

 今回は、3〜4月に私が読んだ50冊以上の本から、この絵本は面白かった!!読み聞かせにぴったり!子どもが楽しそうに絵本を読む姿が目に浮かぶ!という視点で5つの本をセレクトしました。

1位から5位までのランキング形式で紹介しますので、ぜひ気になった方は、ご自分のクラスの学級文庫や読み聞かせリストに入れてみてください。人気になるのは間違いなしです!

それでは、いってみましょう!

 

第5位 109ひきのどうぶつマラソン:7点

第4位 れいぞうこのよこのおく すみっこのかくれんぼ:8点

第3位 にげて さがして:8点

第2位 ごみじゃない:8点

第1位 もっかい:9点

 

第5位 109ひきのどうぶつマラソン:7点

 第5位はのはら はるかさんの書かれた「109ひきのどうぶつマラソン」です。

この絵本を一言で言うなら「109ひきの動物たちが織りなす山あり谷ありのはハチャメチャマラソン」です。

この絵本は、以前「絶対に買うべき絵本シリーズ」で紹介したオニガシマラソンという絵本に非常に酷似しています。

ちなみにこのオニガシマラソンは人気すぎて貸し出しが禁止になるほどの面白さで、文句なしの10点満点ですので、気になった方はこちらの記事もお読みください。

関連記事

 今回は絶対に買うべき絵本シリーズの第1弾として、オニガシマラソンという絵本について解説していきたいと思います。    というのもこの絵本はちょっと面白さのレベルが並大抵ではないのです。  以前1年生を担任し[…]

さて、この絵本に話を戻すと、この絵本では109ひきの様々などうぶつが1位を目指してマラソンするという内容です。109ひきの動物というだけあって、ライオンやぞう、馬やキリンなどのメジャーな動物は全て出場します。

中にはガゼルやナマケモノなどの少しマイナーな動物やユニコーンなどの空想上の動物など、実にバラエティー豊かラインナップとなっています。読み聞かせをする際には、子どもたちとどの動物が1位になりそうか、こんな動物もいるんだね、と予想や確認してから読むことで面白さは何倍にもなることでしょう。

さてレースが始まるとこれまた109ひきとだけあって、ページの隅から隅まで動物たちの懸命に走っている様子が描かれています。

最初に1位予想した動物は今何位くらいなのか、今1位の動物は誰なのかといったところは全ページで楽しめる要素です。そしてこの絵本では、各ページ毎にウォーリーを探せのように〇〇している動物は?⬜︎⬜︎は何匹いる?などの絵を探しながら答えるクイズもあり、毎ページ楽しむことができます。

ただし、全ページで全てのクイズを子どもたちと考えていると読み聞かせの時間が膨大になりますので、各ページで1〜2問程度が良いかと思います。

そして物語のラストです。正直私は、絵本を読み進めながら、オニガシマラソンとの酷似しているのもあり、やっぱり面白さはオニガシマラソンの方が上だなと感じていたので、面白いけど購入するまではいかないかなと感じていました。でもこの絵本はラストが素晴らしかったんです。

一言で言えば「みんな違ってみんな良い」でした。マラソンで1位を取るために頑張ってきた動物たちの表彰式では、「走る速さ1位」「笑顔が素敵1位」「周りに優しくできる1位」など動物たちそれぞれの良さを1位として皆が金メダルをもらえるのです。

競争していたはずなのに、誰も歪み合うことなく、自分と周りを認め合えるそんな最高の人間関係の一端を動物たちに見た気がしました。

ちなみに一応ですが、1位の動物から109位の動物まで紹介されています。1位〜10位や109位などは決めやすいですが、作者ののはら はるかさんも正直中盤の動物の順位は悩んだのではないかなと勝手に思っています。

以上、身近な動物が大勢走る!クイズや絵を探す楽しさもある!ラストが平和的!そんな絵本「109ひきのどうぶつマラソン」でした。

「どうぶつマラソン」

第4位 れいぞうこのよこのおく すみっこのかくれんぼ:8点

 第4位はうえだ しげこさんの書かれた「れいぞうこのよこのおく すみっこのかくれんぼ」です。

この絵本を一言で言うなら「食べ物版トイストーリー」です。

人間がいなくなると、冷蔵庫の中の食材達は人のような人格をもち、喋るわ移動するわのファンタジー作品です。

主人公?はケチャップとマヨネーズの2人、ある日、マヨネーズが自分の蓋を無くすのを発端に蓋を探そうとケチャップと力を合わせて、考えを出し合って解決していこうとする物語です。

これらの描写がうえだ しげこさん描く可愛らしくもゆるいタッチと相まって非常にほんわかしながら、時にクスッと笑える展開になっています。ただ探すだけでなく、解決策としてナスのヘタをのせてみたり、コショーの蓋を借りてみたり、マヨネーズが蓋の代わりになるものを頭にのせているところは、まるで着せ替え人形のカツラを取っ替え引っ替えしているようで、子どもからツッコミや笑い声が上がることは間違いなしです。

ちなみに余談ですが、この絵本はカバーにも面白い仕掛けが施されていて、カバー込みの表紙・裏表紙とカバー無しの表紙・裏表紙で微妙に描かれているものが違いますので、カバーを取ったりつけたりしながら、絵の細かい違いも楽しんでみてください。

「すみっこのかくれんぼ」

 

第3位 にげて さがして:8点

 第3位は、人気絵本作家ヨシタケシンスケさんの書かれた「にげて さがして」です。

この絵本を一言で言うなら「子どもが学ぶ世渡り術、人間関係編」です。

これはアドラー心理学でも提唱されている「人間の悩みの全ての根本は人間関係」にも通じるものがありました。

目の前に自分と合わない、自分に危害を加えてくる人がいたらどうするのか、そんな時は迷わず逃げて、自分と通じ合える人を探そうというのが、この絵本のタイトルにもなっている「にげて さがして」です。

子どもにとって1番身近な社会は学校のクラスであることがほとんでしょう。そんな10人~30人の社会には自分と合う人も合わない人も居るのが当たり前なのです。

そんな中で教師の言うみんなで仲良くしよう、という言葉を真に受けすぎると、自分と合わない人と無理に交友関係を築こうとして、結果自分が苦しめられることとなります。

私はクラスの子に協力関係を築いて欲しいと説いていますが、それは全員が平等の仲良しこよしではないことも伝えています。特別仲の良い子がいることはもちろんあっても良い、ただ凄く仲の良い子以外の子を排他的にしてはいけない、一定の距離感で協同できることを目指しています。

これは大人の人間関係にも通じるものがあると思っています。そういった意味では、この絵本は絵本という形をとった一種の自己啓発本とも呼べそうです。

それだけに下は1年生から上は6年生や中学生、高校生にも読んであげたい絵本です。むしろ年齢が上がるにつれて、より深い意味でこの絵本が伝えたいことが刺さりそうです。

もちろんヨシタケシンスケさんらしい柔軟な発想の例えや可愛らしいタッチの絵は健在です。1ページ1ページの文字数も多くなく、とても読み聞かせに向いています。

卒業式間近や年度終わりなどの節目に子どもたちに伝えたいメッセージとして読むのをお勧めします。

「にげて さがして」

 

第2位 ごみじゃない:8点

 第2位はminch(ミンチ)さんの書かれた「ごみじゃない!」です。

この絵本を一言で言うなら「子どもにとっての基準、目の前にある全てのものがおもちゃであり、宝物である。」です。

この絵本を読んで最初に思ったのは以前見かけたLEGOの広告でした。ただのTの形に繋げたレゴも階段のように繋げたレゴも夢中に遊ぶ子どもの脳では、それぞれ飛行機であったり、恐竜に変換されて遊びを楽しんでいるのです。

この絵本でも主人公の女の子はなんでもおもちゃや宝物にしてしまうのです。レジ袋をTシャツにしてみたり、穴の開いた靴下をぬいぐるみの洋服にしたり、1つ1つの発想がとてもユニークでそんな発想あったか!と驚かされるものや私も小さい頃に同じようなことして遊んでたわ!と共感するものまで、実に様々です。そんなおもちゃや宝物がごみにちなんで53個も紹介されているのです。

きっと作者のminchさんはそんな子どもの時の純粋な気持ちを今でも持ち合わせてる方なのかなと思いました。

大人の私でもうすらぼんやりとした子ども時代の記憶を引っ張り出して楽しめたのですから、3才~5才がつい数年前だった小学生からすると大人の数倍楽しめる絵本とも言えます。

以前紹介した読み聞かせたら必ず盛り上がる絵本3選【低〜中学年】の記事でもminchさんの書かれた「1さいはん」という1才~2才の子どもあるある行動をまとめた絵本でも子どもたちは自分の1さいはんの時を思い出して盛り上がったように、こういった自分の過去を振り返ってのあるある本は総じて子どもにウケが良いです。

関連記事

読み聞かせたら必ず盛り上がる絵本3選【低〜中学年】   朝の会やちょっとした授業のスキマ時間、小学校の教員の皆さんは子どもたちとどう過ごしていますか? ちょっとレクリエーション、小テスト、プリントなどなど、時間の使い方は[…]

ぜひ、子どもたちと一緒に幼少期を思い出しながら読み聞かせを楽しんでください!

「ごみじゃない!」

 

第1位 もっかい:9点

 今回の栄えある第1位はエミリーグラウェットさんの書かれた「もっかい!」です。

この絵本を一言で言うなら「子どもに読み聞かせをした時のあるあるを絵本にする発想に脱帽」です。

主人公はあるドラゴンの親子です。子ドラゴンが寝る前に絵本の読み聞かせをせがむと、親ドラゴンが読み聞かせを始めます。

そうして、めでたしめでたしと読み聞かせが終わると、すかさず子ドラゴンが「もっかい!」と再度読み聞かせすることをせがみます。

こんな経験、みなさんもあるのではないでしょうか、特に子どものお気に入りの絵本やミニゲーム、マジック、ダンスをした時に終わるやいなや「先生!もう一回やってください!」と言われたことがあるはずです。

そんな子どもと接している時のあるあるを絵本にするという発想が凄いです。脱帽です。斬新な切り口でこんなお笑いもあるのかと驚かせてくれるバカリズムさんのネタのようなものです。まさに絵本界のバカリズムですね。

さて、物語の方は「もっかい!」とせがまれた親ドラゴンは仕方なく、もう一度同じお話を読み聞かせしますが、そこでもまた「もっかい!」とせがまれます。

再三読み聞かせをせがまれた親ドラゴンは、寝かしつけるために読み聞かせを始めたのに自分の方が眠くなってきて、だんだんと読み聞かせが適当になってきます。この適当さがとても面白いです。

そして最後には、この絵本の主人公の親子が人間でもクマでも犬でもネズミでもなく、なぜドラゴンなのかという納得のオチまでついています。

絵本をもう一回読んでとせがむ様子を絵本にするアイディアだけでも驚愕なのに、最後の最後まで読んだ人を驚かせるような仕掛けまで用意されていて徹頭徹尾に面白さが凝縮された絵本でした。

余談ですが、作者のエミリーグラウェットさんはイギリスの方だそうですが、「ぜったいに○○しちゃだめ」シリーズが有名なアメリカ人のビル・コッターさん同様に海外の絵本作家の方は日本人の絵本作家の方が書かれる起承転結のある絵本という枠組みから一歩も二歩も外れた非常に独創性に富んだ面白さを生み出すのがとても上手な印象があります。

以上、3~4月の絵本、第1位「もっかい!」でした!ぜひ教室で親ドラゴンのように子どもに読み聞かせをさがまれながらも最後の仕掛けで子どもたちをびっくりさせてあげてください!

「もっかい!」

終わりに

 3~4月の絵本 BEST5、いかがでしたでしょうか。

私としては第1位の「もっかい!」と第2位の「ごみじゃない!」はどちらも広い意味で子どものあるあるをテーマにした絵本という共通点を感じました。(あと、どちらのタイトルも最後が!ですね。)

お笑いの世界でもCOWCOWさんの「あたりまえ体操」やレギュラーさんの「あるある探検隊」、土佐兄弟さんの「高校あるある動画」など、いつの時代でもあるあると共感できるものは見る人、読む人にとって面白さを感じるようです。

そういった意味では子ども時代のあるあるというのは全員があるあると共感できる鉄板なのかもしれません。

今後も、確かに子ども時代こんなことしてたな!と懐かしくも共感できるようなステキなあるある絵本に出会えるのが今から楽しみです。

これからも子どもたちと絵本を通して良好な人間関係を築き、

スマートな教員を目指していきましょう!

では、また。次の記事で  Thank you

 

最新情報をチェックしよう!