【絵本・読み聞かせ】買わないと絶対に損! 面白い絵本ベスト3 9月編
今回は、9月に私が読んだ30冊以上の本から、
この絵本は面白かった!!
読み聞かせにぴったり!
子どもが楽しそうに絵本を読む姿が目に浮かぶ!
といった視点で3つの本をセレクトしました。
3位から1位までのランキング形式で紹介しますので、ぜひ気になった方は、
学級文庫や読み聞かせリストに入れてみてください。人気になるのは間違いなしです!それでは、いってみましょう!
3位 ドングリ・ドングラ
「小さなドングリ達による広大な冒険劇」
3位は、コマヤスカンさん作の「ドングリ・ドングラ」です。
物語としては、ドングリ達がある島で芽吹くことを目指し森の中や海の上を進んでいく冒険物語です。
登場人物達は頭がドングリ、体が人間のドングリ人間という表現がピッタリな風貌をしています。
ただ一口にドングリといっても大きいものから細いもの、濃い茶色や赤いものなど形や色が実に様々で、ドングリの種類がそれぞれの個性かのように表現されています。
なんとなく世間一般に広まった定番のドングリの形や色しか知らない子どもたちにとっては、
「こんなドングリの形や色もあったのか。」と驚くことでしょう。
そして、このドングリたちが森の中に集まり、冒険を始めようとするのですが、ドングリたちの数の多さや種類も合間ってか、さながら合戦に出かける武将たちのような迫力を感じます。
イメージとしては、漫画キングダムの山の民がピッタリです。
いざ旅が始まれば困難の連続でした。
しかし、それもそのはずです。人間からすればなんてことのない森も、ドングリからすれば危険きわまりない危険度Sの難関ルートだからです。
道中では、リスや冬の厳しい寒気や砂漠、荒れた海が襲います。
そんな過酷な状況の中でもドングリ達は必死に松葉や小枝の剣を振り回し、辛い時には「ドングリ、ドングラ」と自分たちを鼓舞しながら歩を進めます。
そしてとうとう、旅の最終目的地の島に辿り着くのです。
最後の島は通称「火の島」、火山が噴火したことで、島の木々が全て枯れてしまった灰色の島です。
そこで待っていたのは、芽を出すことが叶わなかった年老いたドングリたちでした。
そうです、ドングリたちがリスや自然といった危険を顧みず旅を進めていたのは、植物が枯れ果てた島に行き、そこで芽を出すためだったのです。
目的の地に辿り着き、思い思いの場所を決めたドングリ達は落ち葉の布団を被り、深い眠りへとつきます。
最後のページでは、枯れ果てた島にドングリ達の小さな芽が出ているところで終わる、なんとも読後感の良い仕上がりになっています。
また裏表紙では、最後のページのさらに数年後の島が緑で覆い尽くされた絵です。
表紙の枯れ果てた島と裏表紙の緑豊かな島が対比構造になっていて、ぜひ子どもたちに気づかせたいものです。
ちなみに私のクラスではドングリはただの実であり、ドングリから芽が出て木になることを理解している子がとても少なかったので、そういった生活・理科的な知識を教えるという意味でも有用な1冊といえるでしょう。
さぁ、あなたもあなたのクラスの子どもたちも小さなドングリと共に大志抱く冒険に出かけませんか?
2位 ワタナベさん
「読む人の胃も心も温める、鍋料理」
2位は北村直子さん作の「ワタナベさん」です。
この絵本は、ワタナベさんという鍋とワタナベという名前が駄洒落になっているなんともユニークな鍋が主人公のお話です。
ワタナベさんは鍋という特徴を生かして、キムチ鍋にもつ鍋、カレーにシチューにボルシチにと様々な熱々鍋料理を作って、訪れるお客さんに提供します。
しかし、そんなワタナベさんの元にナポリタンが食べたいと注文する男の子が表われ、本来なら主にフライパンを使って作るナポリタンにワタナベさんは困惑してしまいます。
悩みに悩んだ末にワタナベさんの出した結論は!?
男の子は無事に美味しいナポリタンにありつけるのか!?
気になるお話しの続きは、是非とも実際に手に取ってご確認ください。
また、ワタナベさんは鍋に顔が付いているようなデザインなのですが、温めるときにはそれが怒ったような顔に変わり、必死に料理を温めている様子がひしひしと伝わりなんとも可愛らしいです。
ワタナベさんのユニークなデザインや美味しそうな料理の描写に読み聞かせ終了後は
子どもたちが口々に「お腹すいたぁーー。」「オレもワタナベさんの料理食べたい!」
とこぼしていました。
給食の前なんかに読み聞かせしたら子どもたちがいつも以上に給食を食べること間違いなしの1冊です。
1位 でんせつのじゃんけんバトル
「知名度日本一のゲームの祖先がコレだ!」
栄えある9月の第1位はドリュー・デイウォルト文、アダム・レックス絵、中川ひろたか訳の「でんせつのじゃんけんバトル」です。
舞台はとある一軒家。
裏庭、書斎、文房具の3つの場所にそれぞれ国があり、その中ではトイストーリーよろしく、洗濯ばさみやプリンターや冷蔵庫のチキンナゲットたちがそれぞれ意思をもって暮らしていました。
そして、その3つの国には、裏庭国のグリグリ(石)、書斎国のパーペ(付箋)、文房具国のチョッキンナ(はさみ)というそれぞれ全戦全勝の最強の戦士がいるのでした。
3人?の戦士たちは文字通り最強であり、自分の国では負けることはおろか苦戦することすらない戦いばかりに飽き、自分と共に張り合えるような強敵を夢見てそれぞれが過ごしていたのです。
そんな折にグリグリ(石)とチョッキンナ(はさみ)とパーペ(付箋)が出会います。
3人はまさに自分の力では倒せない強敵を見つけ、思う存分戦いに明け暮れるのでしたというお話です。
この絵本の面白さは大きく分けて3つあると思います。
1つ目が勝敗の予想のしやすさです。
冒頭はそれぞれの国でグリグリやパーペたちが洗濯ばさみやプリンターといった敵と戦うのですが、それぞれ最初に最強と紹介されていることから子どもたちもグリグリたちが勝つんだろうなと予想することができます。
そして、後半のグリグリ、パーペ、チョッキンナたちの戦いは絵本の題名からこの絵本の題材がじゃんけんであることを感じ取っている子どもたちからすると、さらに勝敗の予想がしやすくなっています。
自分が勝つと予想しているキャラクターが次のページでしっかり勝っているという展開は、子どもたちにとってとても面白く感じる要素の1つであるようです。
2つ目は言葉選びです。
この絵本は外国の方の書かれた絵本ですので、翻訳を担当された中川ひろたかさんのセンスという言い方もできますが、戦う前の会話や相手への煽り方がなんとも海外の映画に出てくるようなウィットに富んだ言い回しが出てくるのです。
決して道徳的に褒められた言葉ではないのですが、このウィットに富んだ言い回しがこの絵本のアメコミらしい線の太く色がはっきりしているキャラクターや作風に絶妙なスパイスとなっているのもまた1つの事実かと思います。
3つ目は演出の仕方です。
この絵本では、キャラクター同士が何度も戦い合うのですが、その際に必ず「グリグリと洗濯ばさみのたいけつ!」といったページが差し込まれます。
しかも、そのページだけは、話の前後の背景とは全く異なるバトル用の背景が描かれているのです。
イメージとしてはスマブラや格闘ゲームの対戦キャラクターと選んだ時に似ています。
この如何にもこれから戦いが始まるぞ!という演出がバトルの展開へのワクワクを高めているのは間違いないでしょう。
しかも前述の通り、そのバトルの勝敗は自分が予想した通りとなれば子どもたちが面白く感じるに決まっています。
読み聞かせ後にはこの絵本を片手にじゃんけんし合う子や、この絵本を音読している子の周りに5.6人の人だかりができるほどの人気でした。
ちなみにですが、教科書によってはじゃんけんの3すくみを子どもたちが考える1年生の国語の教材があったかと思います。
ご自身の教科書にあれば最高の導入教材になりえるでしょう。
子どもたちのだれもが知るじゃんけんを元にした絵本で子どもたちと一緒に興奮できる1冊です。
終わりに
【絵本・読み聞かせ】買わないと絶対に損! 面白い絵本ベスト3 9月編、いかがだったでしょうか。
今回は読み聞かせとしての面白さは勿論のこと、読み聞かせをした後に子どもたちが思わず1人読みしたくなるような絵本をセレクトしてみました。
私の理想としては、読み聞かせから1人読みに繋がり、1人読みをした子が面白さをまだ読んでいない子に広げて、絵本の面白さが子どもから子どもへ伝播していったら最高だなと感じています。
今回紹介した絵本でクラスに共通した絵本の面白さがブームになってくれたらと思います。
これからも子どもたちと絵本を通して良好な人間関係を築き、
スマートな教員を目指していきましょう!
では、また。次の記事で Thank you