【絵本・読み聞かせ】 祝寅年! トラにちなんだ絵本2選!

【絵本・読み聞かせ】 祝寅年! トラにちなんだ絵本2選!

 今回は今年の干支「寅」にちなんで、トラの出てくる絵本を2つ紹介したいと思います。

 もうすぐ冬休みが終りますが、冬休み明けの初日などは、

まだまだ子どもたちの休みモードが抜けていないでしょう。

また、初日から授業をガッツリ詰め込むのはちょっとな、という時は、

子ども達が静かに楽しく聞き、準備も本さえあれば大丈夫な読み聞かせがおススメです!

今回紹介する絵本で、バタバタする日に落ち着いた時間を取り入れてみてはどうでしょうか。

それでは、さっそくいってみましょう!

 

トラのじゅうたんになりたかったトラ

 

「お金持ちの絨毯になれれば 俺だって幸せに!」

 

1つ目の絵本は、ジェラルド・ローズ 文・絵、ふしみ みさを 訳の

トラのじゅうたんになりたかったトラ」です。

主人公はインドのジャングルに住む1匹の年老いたトラ。

年老い、獲物を自力で取るのが難しくなったトラは痩せ細り、猿に馬鹿にされる始末でした。

そんな折に、王様の住む宮殿のトラの絨毯に変われれば!と閃めきます。

そして、見事、絨毯になり変わったトラは宮殿の中の生活を満喫します。

しかし、宮殿の豪華な食事を食べるうちに痩せ細った体は次第に肉が付き始め、人間達に疑われ始めます。

バレればトラ皮の絨毯にされてしまうと焦るトラの元に畳み掛けるように泥棒が来て事態は思わぬ方向へ。

果たしてトラの運命はいかに!?といった物語です。

この絵本の面白さは以下の3つです。

起承転結の分かりやすさ

 この絵本は、

起:痩せ細ったトラが宮殿の絨毯になろうと閃く

承:宮殿での絨毯生活を謳歌する

転:本物トラではないかと疑われる・泥棒が侵入してくる

結:トラの行く末

アイディアを思い付く→事態が好転→好転ゆえのトラブル→ハッピーエンド、

物語の起承転結が非常にすっきりしていて、とても分かりやすいです。

子どもにとっても非常に親しみやすく、感情移入しやすい構成になっています。

また、余計な台詞や説明が少なく、数ページ毎に場面が変化するため

最後まで間伸びすることなく飽きずに読み進めることができるでしょう。

感情豊かなトラ

 主人公は年老い・痩せ細ったトラという設定ですが、物語の中では非常に豊かな感情を見せてくれます。

絨毯として召使いにハタキで叩かれる際の苦悶の顔

美味しい料理に舌鼓を打つ顔

泥棒に立ち向かうときの勇敢な顔

など、トラの表情や様子から人間さながらの感情を感じ取ることができます。

是非、読み聞かせの際には、各ページのトラの表情の違いについて子どもたちに紹介してあげるのが良いでしょう。

異国情緒あふれる舞台設定

 この絵本では、インドが舞台となっています。

ですから、王様や宮殿といっても王冠をかぶり、赤いマントをはためかせる王様でもなければ、

大きな長机の食卓やシャンデリアといった装飾等もありません。

王様は頭に白いターバンを巻き、食事は床に広げ、絨毯に座りながら手で食べるのです。

最後のページでは象の背中に乗って出かけるなどの描写もあります。

子どもたちが抱きがちな日本といえば侍やお殿様、

それ以外の外国は、ドレスを着てお城に住むといった知識に

インドならではの描写の数々が一石を投じます。

読みながら潜在的にこういう服装や生活様式の国もあるんだなと理解していくことでしょう。

 

以上、トラのじゅうたんになりたかったトラ」の紹介でした。

 

おおきなトラとシカのはんぶんくん

 

「ペンは剣よりも強し、知恵は牙よりも強し」

 

2つ目の絵本はバーニス・フランケル 作 レナード・ワイスガード 絵 

こみや ゆう 訳の「おおきなトラとシカのはんぶんくん」です。

主人公は、おおきなトラ……ではなく、シカのはんぶんくんです。

はんぶんくんは、シカの三兄弟の末っ子です。

体の大きさが、力が強く足の速い兄さん達の半分しかないことから、

はんぶんくんと揶揄されているのでした。

そんな3匹の前に大きなトラが襲い掛かろうと現われます。

兄さん達が自分達よりもさらに大きなトラにすっかり萎縮しているのを尻目に、

はんぶんくんがトラの前に立ち塞がり追い払います。

しかし、小さなシカに何を怯えてるんだと狐に煽られ、

トラは、またはんぶんくん達の元に戻ってくるのでした。

その後は何度も戻ってくるトラとはんぶんくんの心理戦が繰り広げられます。

はんぶんくん達シカの兄弟に平和は訪れるのか?といった物語です。

この絵本の面白さは以下の3つです。

はんぶんくんの賢さと勇敢さ

 はんぶんくんは、体の大きさこそ兄さんシカ達の半分しかありません。

しかし、大きなトラを目の前にしても怯まない勇敢さとトラを思わず震え上がらせる賢さをもっています。

例えば、

トラに「なんでそんなに体に白い斑点があるんだい?」と聞かれると

「なあに、トラを一頭食べるたびに斑点が増えていくもんでね。」

と大見え切って答えます。

動物界の一休さんよろしく、とっさの機転とブラフを使ってピンチを乗り切るのです。

小さなシカが大きなトラを追い払うジャイアントキリング的展開には一種の爽快感が伴うでしょう。

 

トラの素直さ

 この絵本に出てくるトラは、体こそ大きいものの非常に素直です。

はんぶんくんのブラフを聞くと、途端に震え上がり一目散に逃げてしまいます。

ところが、逃げた先でキツネに「そんなのはシカの嘘に決まってるさ。」と言われると、

また、はんぶんくん達の方に怒って戻ります。

しかし、そこでもはんぶんくんの新たなブラフに騙されしまい逃げ戻ってしまう…というふうな具合です。

本来、絶対強者であるはずのトラがシカやキツネの言葉で右往左往しているさまは何とも可愛らしいものです。

 

表現や例えの豊かさ

 この絵本では、繰り返し同じ表現や多くの比喩が使われています。

トラが逃げる際には、毎回同じような文章が使われます。

同じ文章にはある種の安心感とリズムが生まれ、

子どもとしても「あ、またこの文章がきたな。」と

楽しさを予想しながら聞くことができるのが特徴です。

しかも、この絵本では同じなようで、お話に合うように

繰り返されるたびに少しずつ変化しているので更に飽きずに楽しむことができます。

また比喩表現も多く使われています。

例えばトラの様子を表現する比喩として

「ぷるぷると波打つ筋肉」や「しっぽをまるで はてなマークのように」

などが使われています。

上手な比喩表現は、スパイスとして物語の面白さを引き立てることに活躍することでしょう。

 

以上、「おおきなトラとシカのはんぶんくん」の紹介でした。

 

おわりに

【絵本・読み聞かせ】 祝寅年! トラにちなんだ絵本2選! いかがだったでしょうか。

今回のブログを作るにあたってトラの出てくる絵本を探してみて、その数が少ないことに驚きでした。

今回紹介した以外でおすすめのトラ絵本を知っている方がいれば、

コメント欄で教えていただけたら幸いです。

2022年もステキな絵本に出会い、みなさんに紹介することができるのが楽しみです。

これからも子どもたちと絵本を通して良好な人間関係を築き、

スマートな教員を目指していきましょう!

では、また。次の記事で  Thank you

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