絶対に買うべき絵本シリーズ 第3弾 「ぼくの○○シリーズ」
今回は絶対に買うべきシリーズの第3弾として、鈴木のりたけ先生の書かれている「ぼくの〇〇シリーズ」の魅力を解説していこうと思います。
まず作者の鈴木のりたけ先生ですが、ぼくの〇〇シリーズ以外にもたくさんの絵本を出されています。
「とんでもない」「すーベリだい」「〇〇のいちにち」など、私はどの絵本も基本的に購入しています。
そして、その中でもダントツで面白いと感じているのがこの「ぼくの〇〇シリーズ」なんです。
もう例えるなら、オリンピックのマラソンで他の選手も2時間10分台とかでものすごく速いのに、1人だけバイクに乗ってレースに参加しているみたいなもんですかね。面白さの次元が1人だけ違うって感じです。
では、前置きはこの辺にして、ぼくの〇〇シリーズの魅力を3つに分けて解説していきますので、気になった方は是非子どもたちと面白さを分かち合ってほしいです。
それではいってみましょう!
魅力その1:無限大の想像力
まず1つ目の魅力は「無限大の想像力」です。
はっきり言ってこの魅力が今回紹介する魅力の肝です。
からあげ定食でいうところのからあげです。からあげ定職とは、何をもってしてからあげ定食というのか、それはもちろんからあげがお皿の上に威風堂々と料理の主役として主張しているからでしょう。
同じように何をもってしてぼくの〇〇シリーズというのかは、この極限まで高められた想像力から生み出される、ユニークなトイレやお風呂の数々なのです。
ぼくの〇〇シリーズをよく知らない方のためにお伝えすると、このシリーズは「ぼくのおふろ」「ぼくのトイレ」「ぼくのふとん」と令和3年6月現在で最新作の「ぼくのがっこう」の4作品が出版されています。
どの絵本でも普通のおふろやトイレに飽きた主人公がこんなおふろやトイレがあったらいいなという妄想するところから話がスタートするのですが、この妄想される〇〇おふろや⬜︎⬜︎トイレの数と発想が本当にすごいの一言に尽きます。
皆さんも一度考えてみてほしいのですが、〇〇おふろとして変わったお風呂のアイディアを出してみてください。
これはあくまで想像ですので実現可能かどうかは問いません。というよりこの絵本に出てくるアイディアもそのほとんどが物理的に無理なものや、現実的でないものばかりです。でもだからこそ面白いのです。
床が珪藻土できたお風呂や、スピーカーから音楽が流れるお風呂なんて思いついても、それはあくまで便利であって、面白くはありません。
ただ、いろいろ言いましたが、ただの便利でも、ユニークでなくても構いません。実現可能・不可能問わず〇〇おふろのアイディアを1分でも10分でも良いので考えられるだ考えてみてください。では、いきますよ?
よーーい、スタート!!
さぁどれだけ思いついたでしょうか。
3〜5こくらい思いついた方が多いのではないでしょうか。10こ以上思いついた人はアイディアが豊富な方ですね。
ちなみに私は7こでした。
では作者の鈴木のりたけ先生はどうかというと、ぼくのおふろでいうとなんと30こ以上もの独創的でユニークなおふろを思い付いているんです。
さすがプロという冠がつく絵本作家さんといった感じです。
絵本なんて、絵が多少上手ければ誰でも書けるでしょ、といった意見を見かけることがあります。
結論から言えば絵本を書くことは誰でもできます。ただ、面白い絵本を書くためには絶対にスキルやセンスが必要です。
ストーリー性、キャラクターの魅力、言葉選び、想像力、画力……etcそれら全てが高レベルで合わさって初めて面白い絵本が誕生するのです。
そういった意味で鈴木のりたけ先生の想像力とそれを絵本に落とし込む力は絵本作家界においても圧倒的と言えるでしょう。
そして、それはそのまま子どもにとっての面白いに繋がります。
ここで絶対にしていただきたい質問が2つあります。
それは、「この2つだったらみんなはどっちがいい?」「この中だったらみんなはどのおふろがいい?」です。
この絵本の最初の数ページは左側のページと右側のページに〇〇おふろが1つずつありますので、その時は1つ目の質問でどちらがいいか選んでもらいましょう。
そして、読み進めていくと、見開きのページに15〜25こもの大量の〇〇なおふろがありますので、隅から隅までじっくり子どもに見せた後、2つ目の質問を投げかけてみましょう。
普段大人しいクラスでも絶対に声が上がるはずです。
そしてこれは一種の学級経営にも使えるのですが、こういった質問をすると自然と近くの席の子と話し始めます。
または「どっちがいいか、隣の人と相談してみよう」なんて言えば、まだあまり仲良くない、授業中に意見を交換するのは苦手といった子たちでも比較的容易に隣の人と相談するきっかけ、仲良くなるきっかけを作ることができます。
魅力その2:絵の細かさ
魅力の2つ目は「絵の細かさ」です。
このぼくの〇〇シリーズは、序盤は魅力その1で紹介した作者の想像力を生かした、ユニークなお風呂やトイレが紹介されています。
そして中盤から終盤にかけては、いわゆるウォーリーを探せ的な絵探しの展開になっています。
ストーリーとしては、おふろシリーズでいうとお風呂の栓を盗んだサングラスの泥棒、おふとんシリーズでいうと布団の中の綿を抜いた羊を探すものになっています。この時の見開きの絵の細かさがまさにウォーリを探せ級なんです。
しかもお風呂やトイレといったその絵本に関連した絵になっているので、隅から隅まで見ても全く飽きることはありません。
そして絵の細かさもウォーリーを探せ級なら、対象の物を見付ける難易度もウォーリーを探せ級の難しさになっています。
ですので、この絵本はプロジェクターやミラーリングといった技術を駆使して絵本ではなく、大画面で読み聞かせすることを強く強く推奨します。
むしろ普通の絵本のサイズで子どもたちを集めて読み聞かせしていたら「見えないー!」「えっどこにいるの!?」「ちょっと前の人座ってよぉぉ!!」と暴動が起きるレベルだと思ってください。
子どもたちの普段とは違う狂気の一面が見たい方以外はご注意ください。
全ページ、子どもたちと対象物を見つけるのもいいですし、数ページは子どもたちの1人読みの時の楽しみ用にとっておくのも良いですね。
ちなみに私は時間との相談ですが、時間がある時には読み聞かせ時に全ページ見付けることが多いです。
理由としては、見付けた!!という時の感情が昂る瞬間を子どもたちと共有することは非常に価値があると考えているからです。
魅力その3:展開の安定さ
魅力の3つ目は「展開の安定さ」です。
というのもこのぼくの〇〇シリーズは①起:普通の〇〇に飽きてくる、②承:こんな〇〇があったらいいなと考える、③転:お風呂の栓や布団の綿毛が盗まれる、④転:盗まれた物を探しに行く、⑤結:盗まれた物が見つかってめでたしめでたし、といった展開がシリーズを通してほぼほぼ同じなのです。
一見すると同じ展開ならつまらないじゃんとなりそうですが、逆に考えれば、ぼくの〇〇を初めて読んで面白いと感じた子は他のぼくの〇〇も面白いと思う可能性が高いという風にも考えられます。
事実ベースとして、私は3年生にぼくのおふとん、トイレ、おふろの3冊を読み聞かせしましたがどの絵本の時も新鮮な反応で喜んでくれて、その後はぼくの〇〇シリーズを読む子が爆増しました。
おそらく、それを支えているのが魅力の1つ目の無限大の想像力と2つ目の絵の細かさでしょう。
展開は同じだとしても、無限大の想像力から生み出されるユニークな〇〇は題材が変わるだけで新鮮に楽しむことができます。
そして単調な絵が続くよりも、魅力のその2の絵の細かさのように、見開きのページにびっしりと絵が書いてあった方が、読む度に新たな発見があるかのような面白さを感じ取れるかと思います。
これは私事ですが、最近本屋さんに行った時にぼくの〇〇シリーズの最新作「ぼくのがっこう」が発売されているのを発見しまして(令和3年6月17日現在)念のためと思って中身を見たのですが、私の中で「ぼくの〇〇シリーズ×がっこうなんて絶対面白いじゃん、うわぁーどんな面白い学校が出て来るんだろう!」と買うということは読む前から決定していました。
ということで展開が安定しているということはチェーン店の味がどこで食べても一定の基準を満たしているかのようなブランド力・安心に近いものがあると感じられます。
終わりに
絶対に買うべきシリーズ 第3弾 「ぼくの〇〇シリーズ」いかがだったでしょうか。
想像力の豊かさ、読むだけではなく探す面白さ、そしてそれらがシリーズ化されていて何度も楽しめるというお得感、自分で紹介しといてアレですが、まさに絶対買うべきという冠がぴったりの作品だと自負しています。
特に中盤でも解説したプロジェクターやApple TVなどを使用して大画面で読み聞かせをする環境が整っている方には超絶お勧めできます。
ぜひ、この絵本やこれまでの絶対に買うべき絵本シリーズを導入してクラスの絵本ブームの火付け役なってください。