【アドラー×教育】タイムマシーンに乗って未来を変えよう
今回は他人と過去は変えられない、変えられるのは自分と未来、という話をしていこうと思います。
というのも、これは教員という職業の特性かと思いますが、教員の方は他人を自分の手でなんとかして変えてやる!といった意気込みを持っている方が非常に多い印象です。
もちろん、子どもたちの出来ないこと、分からないことを出来るように、分かるように成長させていくのが教育の原則として考えれば、子どもを変えたい!という意気込みは当然であり、必須なのかもしれません。
しかし、その思いが強すぎるが故に、些細な子どもの問題行動や親からの要求で悩み、苦しんでいる先生を数多く見かけてきました。
今回のこの記事を参考に変えられるものと変えられないものを見極め、悩みやストレスのない教員生活を歩んでいきましょう。
変えられないもの 過去 他人
変えられないものの1つ目は過去です。
当たり前といったら当たり前ですが、自分がどの学校を卒業したとか、過去にこんな失敗をしたなどの過去の出来事を今からやり直したり、変えたりすることはできません。
それでも多くの人は○年前にこうしていればなとか、あの時あんなことをしなければと後悔しているのをよく見かけます。
しかし、大事なことは今、この瞬間であり、過去の出来事の一切はもうすでに過ぎ去った事象の一つだと強く強く認識することが大切です。
過去に囚われてはいけません、今を強く真剣に生きましょう。
変えられないものの2つ目は他人です。
学校現場における他人とは子ども、同僚、管理職、保護者などが挙げられるでしょう。
もちろんあなたが何かしらの働きかけをすることで、他人が変わることはあるでしょう。
子どもとこんなことをルールにした、保護者の方に連絡帳で〇〇をお願いした、それらの働きかけが身を結ぶことは多々あるでしょう。私はそれを否定するつもりは全くありません。
しかし、ほとんどの働きかけが身を結ぶがために、例外的に身を結ばなかった人や事象に対して強く反応してはいないでしょうか。
例えば、「目線を先生の方に向けましょう。」と声かけした時に学級経営の基盤が築かれていれば、8〜9割の子はあなたのことを見てくれるはずです。
その時に自分のことを見てくれている9割の子に注目するのか、残り1割の子に注目するのかで、起きている事象は同じなのに自分の気の持ちようは大きく違うはずです。
自分のことを見ていない子は、その時、その瞬間は、あなたにとって変えることが出来ない子であるのです。
そこにイライラしたり、ネガティブな感情を抱いてはいけません。
その時、その瞬間という書き方をしたのは、その子も何かのタイミングや成長の過程で話を聞く時には相手の方を見るということが出来るようになる可能性が残されているからです。
これは、子ども同士の喧嘩の仲裁の時の説話としても使えます。
「〇〇くんにバカって言われたのが嫌だったんだよね。そっか、でも馬鹿って言っちゃうのは〇〇くんの課題だから〇〇くん自身が向き合っていかなきゃいけない課題だね。変えれれるのは自分って考えた時には、これから自分の行動をどうしていけば良いと思うかな?」と聞いてみるのです。
事実ベースとして、このような聞き方を3年生に聞いたところ、
「〇〇くんが怒っている時には少し距離を取ります。」
「こういう時こそ、自分は優しい声で話しかけます。」
「嫌なことを言われても気にしないようにします。」といった言葉で出てきました。
変えられないものに注目、尽力、悩んではいけません。
もし苦しみの輪廻に巻き込まれそうになったら、過去も他人も過ぎ去ったもの、自分とは違う人ということを頭の中で何度も呟くように唱えていきましょう。
これと似たような考え方でアドラー心理学では「課題の分離」という考え方がありますので、ぜひこちらも参考にしてください。
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変えられるもの 未来 自分
変えられるものの1つ目は未来です。
未来というと今、この瞬間から先のことを指すことになります。
自分は5分後に何をしているのか、仕事から帰ったら何を食べようか、1年後にはどんな人になっているだろうか、そして、死ぬ時にはどのように死んでいくのか。
これは現在の自分の行動によっていかようにも変えることができます。
5分後にはコーヒーを淹れよう。今日の夕飯は家で焼肉にしよう。1年後には英語が話せるように英会話教室に通い始めよう。幸せな最後を迎えるために、幸せな人生を歩んでいこう。
大切なことは未来を変えるために「今」が大事であるということです。
教員の皆さんが毎日使っているであろうチョークの線も拡大してみると白い点が集合体として1つの線に見えているのです。
これと同じように今という点の連続が未来に繋がっていくのです
だからこそ、いつかは~、ゆくゆくは~、落ち着いたら~、と今の自分がすべきことを未来に先延ばしにするような言い訳を並べ立ててはいけません。
今という時間の使い方の積み重ねが未来であるということをはっきりと自覚して過ごしていきましょう。
変えられるものの 2つ目は自分です。
これは1つ目の変えられるものの未来にも繋がってくる話ですが、今、この瞬間の自分の行動・思考・言動というものは自分の意思によって変えることができるはずです。
いやいや、教員なんだから…社会人なんだから…もう〇歳なんだから…というのは目の前の課題・問題から逃げるための言い訳に過ぎません。
ほとんどの人はやらない理由を探すのが大得意な言い訳大魔神です。
このやらない理由を探す能力に関しては世界中の誰もが100m走を10秒フラットで走る走力並みに高い水準で兼ね備えている恐るべき力なのです。
これを読んでいる方は自分のために何か少しでも有益なことを学ぼうと思っている意識の高い方が多いかと思います。
やらない理由、楽な方に流れずに今、この瞬間の自分の行動・思考を変えて、自分の未来を変えていきましょう。
終わりに
「他人と過去は変えられない、変えられるのは自分と未来」いかがだったでしょうか。
私は、この考え方は、自分の悩みやストレスを減らす最も効果的な方法の一つだと私は感じています。
子どもに指導をしたけど上手く変わらなかったな、あの時ああしてれば違う今があったのかな、といった状況でも「他人と過去は変わらない」という考えを実践していれば「まぁいっか。どうせ、変わらないんだし。」の一言で終了です。
大切なことは、「変えられるものは自分と未来」という視点に立って、自分がこれからどうするかを模索していくことです。
最後に嫌われる勇気・幸せになる勇気でも紹介されていた「ニーヴァーの祈り」という言葉を紹介したいと思います。
ニーヴァーの祈り
神よ
変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変わることのできないものについては、それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることができるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。
まさに今回の内容そのままの言葉が50年以上前から提唱されているのです。
同じようなことで、私は今「反応しない練習」というブッタの思想を分かりやすく解説した本を読んでいますが、2000年以上前の人の言葉とは思えないほど、今に通じる、むしろ通じすぎるものが多々あり、驚愕しながら読み進めています。
ITやAIが進歩してきて、スマホやインターネットが普及した今でも、人間の本質的に大事なことというのは何千年も前から変わっていないことがよく分かります。昔から受け継がれてきた人間の叡智をあなたも引き継いでみませんか。
それでは今後もスマートな教員を目指していきましょう!
では、また。次の記事で Thank you