【アドラー×教育】あなたが子どもにしているのは信用?信頼?

【アドラー✖️教育】あなたが子どもにしているのは信用?信頼?

今回は【アドラー×教育】あなたが子どもにしているのは信用?信頼?と題して、子ども達への気持ちのもち方について解説していきます。

結論、あなたは宿題を頻繁に忘れてくる子どもの「先生!明日は必ず宿題やってきます!」の発言を受けてどう思うか?ということに尽きます。

あなたが子どもにするのは信用なのか、信頼なのか、今回の記事を通して、子ども達への気持ちのもちようが少しでも幸せに向かって前進してくれれば幸いです。

それでは、いってみましょう。

 

   

 

信用と信頼の違い

信用とは?

 まず始めに定義から確認です。アドラー心理学における信用の定義とは「担保を信じる」です。

この場合における担保とは、宿題を毎日やってくる、テストで100点をよく取る、今までのお手伝いでもしっかりこなしてくれていた、などが例として挙げられることでしょう。

ゆえに信用を前提とした学級では、

宿題を毎日やってきていたから「忘れた宿題は明日持ってきます。」を信用するし、

テストで良い点を取っているから、今日のノートにも良いことを書いているであろうと予測するし、

今までのお手伝いをしっかりとこなしてくれていたから、このお手伝いも任せられそうだなと仕事を託す、

ということになるのです。

一見すれば至極当然であり、なんの問題もないように思えますが、ここで大事なことは信用を前提に子ども達と接するということは、子どもの存在そのものと接するのではなく、子どもの行う行為に対して接するということになるのです。

 

信頼とは?

 次に信頼の定義です。アドラー心理学における信頼の定義とは「担保や保証がなくても相手の存在自体を信じる」です。

例によって学校現場で考えてみましょう。

学校現場における信頼とは、宿題をきちんと行う・忘れがち、学業の成績が良い・悪い、お手伝いをよくしてくれる・しない、などの行為やこれまでの行いからではなく、今目の前にいる子どもをそのまま信じるということになります。

もっと端的に言えば、宿題を忘れがちな児童が「先生、明日は必ず宿題やってきます!」と言った時に、疑ったり心配したりするのではなく、「はい、明日は宿題持ってきてくれるのを信じてますね。」と送り出してあげることです。

そんなことでは宿題忘れは治らない!持ってくる子もいるだろうけど、忘れてくる子だっているだろ!

と思われるかも知れませんがそれで良いのです。

宿題を忘れてしまうというのは、子どもの課題であり、そこに対して我々教員側は責任や負い目を感じる必要はないのです。

この子どもと教員の課題を分けて考える【課題の分離】という考え方について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

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そして、子どもが宿題を持ってくると信じて託すことには、もう一つのメリットがあります。

それは、子どもが尊敬を学べる点です。

宿題忘れの子どもに遭遇した時に怒るわけでも罰を与えるわけでもなく、ただ淡々と宿題を忘れたという事実を受け止め、宿題忘れをしないためにはどうすれば良いのかを共に考え、信じて送り出す。

そんな対応をしてもらった子の心の中では、どんな感情が芽生えるのでしょうか。

おそらく、なんで宿題を忘れてるんだ!と叱責された時に抱くような、負い目や鬱憤、苦痛といった感情はほとんどないはずで、

逆に尊敬や信頼といった感情をもつことでしょう。

こういったことの積み重ねで健全な心を育まれた子どもは、いつまでも宿題を忘れるといった背信行為はしなくなるでしょう。

 

信頼を行うために必要なことは?

 さぁ、ここまでで信用と信頼の違いについて解説してきました。

ここからは実際に信頼を行なっていくためのアクション編です。

私は子ども達を信頼するためには3つのことが必要だと考えています。

その3つとは、①期待しない ②加点法で考える ③人は変わるかも知れないし、変わらないかも知れないと自覚する です。

それぞれ詳しく解説していきましょう。

①期待しない

 1つ目は期待しないです。子ども達に対して期待しない、この言葉で聞くとどこか殺伐した印象を受けますが、実際はそうではありません。

例えば頻出の宿題忘れを例に取ったときに、子どもが「今日は連絡帳に書くだけじゃなく、自分の手にもマジックで宿題を書きます。」と言ったにも関わらず、次の日も宿題を忘れてきた時のことを考えてみましょう。

もしこの時に、あなたが自分の手にマジックでも書いたんだから今日は流石に宿題を持ってくるだろう、と期待していると宿題を忘れた子に対して落胆や怒りを覚えることになるでしょう。

しかし、もし期待していなければ、あぁ、この子は今日も宿題を忘れてしまったんだな、どうすれば宿題忘れが減りそうかまた一緒に考えてみよう。と気持ちを平常に保つことが出来るはずです。

教員という職業柄、期待することを全く行わないというのはかなり厳しいかと思いますが、子ども達に対しての期待値を下げれば下げるほど、期待を裏切られたことによるストレスは減り、子どもの問題に対して寄り添うことができるようになっていくことでしょう。

 

②加点法で考える

 2つ目は加点法で考えるです。加点法とは、目の前の子どもゼロベースで考え、そこから出来ていること、身に付いていることを加点していく考え方です。

例えば、田中くんという子が居たとして、加点法で考えるならば、授業中に座って勉強している、名前を呼ぶと返事をしてくれる、給食を美味しそうに食べている、休み時間に友達と元気に遊んでいる、などが挙げられるでしょう。

もっと根本的なところに注目して、学校に来ている、クツを履いている、服を着ている、と当たり前過ぎて話題に上がらないような点にまで目を向けると加点するポイントは水が溢れるかのように止めどなく出てくることでしょう。

しかし、世の中の9割の人は人や物事を減点法で考えていると私は感じています。

1年生の担任であれば、これまでの経験や目の前の規範意識や能力の高い子と比較して、この子は字を丁寧に書かない、この子は運動はできるけど他のメンバーと協力できない、この子は友達は多いけど言葉の使い方が良くない、などと理想の100点満点の子ども像から出来ていないこと、苦手なことを引き算するように減点法で子どもを見ているのではないでしょうか。

注意しなければいけないのは、この減点法で人を見る考え方を意図的に行っている人はかなり少数派だということです。

ただ、その分厄介で人は意識的に切り替えないと自然と人や物事を減点法で捉えてしまうということになります。

だからこそ、自分に何度も何度も呪文を唱えて言い聞かせるように加点法の考え方をインストールしていきましょう。

加点法で見ることによって、宿題を持ってこない、言うことを聞かない、中々学習が身に付かないという部分が小さく見えてきて、頑張っている、そこにいる子ども達のことを信頼しようと思うことが出来るようになるでしょう。

③人は変わるかも知れないし、変わらないかも知れないと自覚する

 3つ目は、人は変わるかも知れないし、変わらないかも知れないと自覚するです。

これは1つ目の期待しないに通じる部分がある考え方です。

この考え方は、嫌われる勇気や幸せになる勇気をお読みの方にとってはお馴染みの「馬を水辺に連れて行くことはできても飲ませることはできない」という言葉が1番端的に表しているかも知れません。

つまり、子ども達が変わるように教員側が必死に努力したとしても、子ども達はその働きかけで変わることはあるかも知れないし、変わらないこともあるということをしっかり自覚しましょう、ということです。

ここを教員の働きかけで子ども達は必ず変わるはずと極端に捉えてしまうと、なんで私はこんなに頑張っているのにこの子はいつまでも忘れ物を続けるんだと悩むことに繋がり、○○をしないと信じられない、□□をするなら信じる、といった先述の信用をベースとした考え方に繋がっていってしまいます。

子ども達は変わるも知れないし、変わらないかも知れないと強く自覚し、子どもの成長を温かく見守ることができるようになりましょう。

そして、この考え方を支える根拠の1つにアドラー心理学の「優越性の追求」という考え方があります。

優越性の追求とは、本来人間とは、生まれたときから優越性(歩く、文字を書く、人と話す)を自然と追い求めるという考え方です。

この考え方があるからこそ、目の前に課題や問題を抱えた子を私が担任の時にはもしかしたら変わることは無いかもしれないけれど、いつかはこの子も克服することができるはずだ、と子どものことを信頼することが出来るのです。

 

終わりに

 【アドラー×教育】あなたが子どもにしているのは信用?信頼?、いかがだったでしょうか。

今回は、子どもを信頼する、このとても簡単そうで当たり前とも取れる考え方について解説してきました。

私、個人としても信頼するというのは、正に言うは易し行うは難しの状態で、いつでも子どものことを100%信頼できていないのが現状です。

それでも信頼するために必要な3つのことで解説した、①期待しない、②加点法、③人は変わるかも知れないし、変わらないかも知れないと自覚するを少しずつ少しずつ実践していくことで、自分の心が以前より悩まなくなったのを痛感しています。

そして、悩まなくなった分で子ども達と温かく接することが出来、子どもや保護者の方との良好な人間関係に繋がっていると自負しています。

この記事を読んで、少しでも共感してくださったり、私と同じようにアドラー心理学を教育に取り入れようとしたりしている方の参考になれば幸いです。

 

   

それでは今後もスマートな教員を目指していきましょう!

では、また。次の記事で  Thank you

 

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