ただの読み聞かせでは勿体ない!
本当に効果的な読み聞かせ法 実践編
今回は、ただの読み聞かせでは勿体ない!本当に効果的な読み聞かせ法 実践編と題して、
子ども達の力を伸ばす効果的な読み聞かせ手法の行い方について紹介していきます。
まず始めに結論ですが、
この前提にあるのは、前回の記事でお伝えした
「ダイアロジック・リーディングという読み聞かせ法をすることで、
子どもの読解力、思考力、伝える力などを伸ばすことができる」
があります。
この結論を元に、今回の記事では、
ダイアロジック・リーディングの実際の行い方を
解説していきたいと思います。
それでは、いってみましょう!
ダイアロジック・リーディングとは?
ダイアロジック・リーディングとは、
読み聞かせしながら、子どもに質問や考えるきっかけを与え、
子ども達との会話を楽しみながら読み進めていく読み聞かせ法
のことを指します。
このダイアロジック・リーディングをすることで、
子どもの読解力、想像力、話を聞く力や考えをまとめる力など、
さまざまな力を伸ばすことができます。
その効果の詳細などについては以下の記事をごらんください。
ただの読み聞かせでは勿体ない!本当に効果的な読み聞かせ法 効果編
今回は、ただの読み聞かせでは勿体ない!本当に効果的な読み聞かせ法と題して、
子ども達の力を伸ばす効果的な読み聞かせの手法について紹介していきます。
まず始めに結論[…]
ダイアロジック・リーディングを行う方法
ダイアロジック・リーディングを行う方法は具体的には、PEERシーケンスと呼ばれ
【P:促進 Prompt】本について何か発言するように「促進する」
【E:評価 Evaluate】子どもの発言に対して「評価する」 相槌をうつ、褒める
【E:拡張 Expand】子どもの発言を「拡張する」 リフレーズする、情報を足す、
質問を重ねる、話題を広げるなど
【R:反復 Repeat】子どもの理解を促進させるために「反復する」
大事な単語を繰り返す、話を要約するなど
の4つで構成されています。
ここでは、日本が誇る最高の冒険活劇「もも太郎」を例にとっていきたいと思います。
促進
まずは、もも太郎を読み聞かせする際に、
4段階の最初「促進」で子ども達に絵本の内容について問いかけます。
質問例としては以下の通り。
・川で洗濯しているけど、〇〇君は服を洗うときはどうする?
・きび団子ってどんな味がするかな?
・どうしてきび団子を食べると犬達はお供したんだろうね。
・鬼ヶ島に向かう時のもも太郎達はどんなこと考えていたんだろう?
などが挙げられます。
もっと手軽に行うなら、
「このページには何が描いてある?」
でも良いかと思います。
ここで大事なことは、どんな質問かよりも質問を行うという行為そのものにあります。
教師の質問により、一方通行の読み聞かせでは考えもしなかったことまで、
子ども達は考え始めることでしょう。
こうして質問という水滴を子ども達に垂らしてあげれば、
水面に広がる波紋のように子ども達の頭の中では、
経験や想像などの思考が活性化されることでしょう。
そうして、子ども達が頭の中で考えたことを言葉やリアクションとして
アウトプットしたら、次の「評価」の段階に進みます。
評価
ここでは、促進によって出てきた子ども達の反応に対して評価を行います。
ただし、ここでの評価は
テストのような正誤を問うものではなく、
純粋に子ども達が自分の考えを出して良かったなと思える
ような評価ではなくてはいけません。
具体的には
・そうだね、今は洗濯機で服を洗うお家が多いね。(同意)
・うん、もしかしたらきび団子は、仲良くなれるように甘いかもね。(肯定)
・そっか、犬達はきび団子が美味しかったからお供したのかもね。(反復)
・もも太郎が実はドキドキしてたなんて、先生は思いつかなかったな。(感嘆)
などが挙げられます。
ここで大事なことは自分の考えを声に出して良いんだと子ども達に気付かせることです。
質問に対しての発言を評価という形で受け止めてもらえれば、
子ども達は勇気づけられ、もっともっと発言しようと読み聞かせの雰囲気が活性化されます。
余程の非人道的な発言などではない限りは、
否定や叱責はせず、この子は面白い考え方をするな くらいで
子どもの自由な想像を楽しめる程度のゆとりをもてると良いでしょう。
拡張
評価の段階で子どもの発言を受け止めた次は「拡張」です。
ここでの拡張とは促進によって出された子どもの考えを
教師の手によってさらに深く、広くしてあげることを指します。
具体的には
・もし、川で洗濯していなかったら桃にも気づかなかったかもね。(別の可能性の示唆)
・実は岡山県には、もも太郎のきび団子をイメージした和菓子があるらしいよ。(情報の追加)
・あれ、よく見ると雉が食べるきび団子だけ、少し小さいね。(視点の指示)
・みんなはどこに行く時にドキドキしたり、ワクワクしたりするかな?(自分だったら)
などが挙げられます。
この拡張の段階を経ることで、
子ども達は、自分1人で読んでいた時とは違う発見や気づき、
思考の広がりや深まりを体験することができるでしょう。
また、学校という集団では、1人1人の子ども達からの多様な意見が表出し
中には教師までも舌を巻くような秀逸な意見が出てくることもあります。
そんな意見が出たときには、自然と「おぉぉぉー!!」や「なるほど!!」
と言った声が上がり、なんだかクラスが1つにまとまったような感覚を感じます。
反復
最後の段階は「反復」です。
ここでは子ども達から発せられた
言葉を繰り返したり、教師の手で分かりやすくまとめてあげたりすることを指します。
具体的には
・そうだね、もも太郎のお供は、犬、猿、雉の3匹だね。(繰り返し)
・このお話は、悪い鬼をもも太郎やお供の動物達と協力して成敗するお話だったね。(話の要約)
などが挙げられます。
この反復の段階は学習でいうと復習の役割であり、
子ども達からの発言や思考をまとめる段階と言えるでしょう。
この段階をしっかり行ってから次に行くことで、
色々な意見が出てきたけど、結局何が何だか分からないまま、次のページに進む
ということを回避することができるでしょう。
まとめ
以上の促進→評価→拡張→反復というPEERシーケンスの流れを一巡することが
ダイアロジック・リーディングの基本とされています。
しかし、これは基本であって、毎ページこのPEERシーケンスを一巡する必要はありません。
促進を投げかける前に子ども達から反応があれば、評価や拡張から入っても構いませんし、
ページによっては反復だけで読み進めるページがあっても良いのです。
というよりもむしろ、教師が一回の読み聞かせに限られる時間には限りがあるでしょう。
ですから現実的には1冊野中でPEERシーケンスを何巡もするのは困難です。
なので、話の要所や自分が深く考えさせたい場面などの
1、2カ所ではPEERシーケンスを1巡させることを意識しながら、
子ども達の反応を見ながら読み聞かせにかけられる時間と相談しながら行うのが現実的です。
もっと簡単に言えば
読み聞かせをしながら、ときどき質問をして
子ども達からの反応を聞いて楽しみましょう。
ぐらいで覚えてもらえれば大丈夫です。
初めから理論や方法に囚われて、始めの一歩が踏み出せないよりか
とりあえずやってみて、自分の肌感覚で学んでいく方が遙かに実りが大きいはずです。
そして、またやり方に分からなくなったり、もっと詳しく行ったりしたいと
思ったときに本記事を思い出していただければと思います。
終わりに
ただの読み聞かせでは勿体ない!本当に効果的な読み聞かせ法 実践編
いかかだったでしょうか
学校の先生の仕事は、多忙化とその責任の大きさから、ブラックな労働と叫ばれています。
そんな状況下の中で、絶対に行う授業や丸つけ、各種対応の時間を割いてまで
読み聞かせをしよう・している先生を私は応援しています。
だからこそ、
読み聞かせが教師と子ども両方にとって少しでも有意義な時間になれば
と私は思っています。
今回紹介したダイアロジック・リーディングの手法がそんな方の一助になれば幸いです。
これからも子どもたちと絵本を通して良好な人間関係を築き、
スマートな教員を目指していきましょう!
では、また。次の記事で Thank you!