【アドラー×教育】その子どもの問題行動、何段階目か分かりますか?
今回は子どもの問題行動の段階について紹介していきたいと思います。
学校では様々な問題行動が起きると思います。そしてその問題行動に対して我々教師は日々対応に追われていると思います。
しかし、目の前で起きている問題行動に対して適切な対応がとれているでしょうか?
問題行動を病気で考えたときに、風邪なら風邪用の、花粉症なら花粉症用の薬を処方しないと病気という問題に対して適切な効果は望めないですよね。
アドラー心理学では、子どもの問題行動を大きく分けて5段階に分類しています。
今回の記事を参考にしながら、目の前の子どもの問題行動は第何段階目に当たるのかを知り、その問題行動に対しての適切な対応する術を身につけていただけたらと思います。
1.賞賛の要求
1つ目の段階は賞賛の要求です。分かりやすく言えば、「褒められるために行動する」という物です。
あなたのクラスを思い返した時に良いことをしたことをことさら先生にアピールをしてくるような子が1〜2人はいないでしょうか。
そういった子がこの賞賛の要求に相当します。
具体的には教室に落ちているゴミを拾う、困っている子に何か教えてあげる、そしてそれらの行動中、行動後に教師に自分が行った良い行動を声に出したりオーバーな行動を取ったりするのです。
これらは教師にアピールしてくるという若干の問題はあるものの、行為自体は一見褒められるものであり、問題がなさそうに思えます。
しかし、ここで問題になるのは、称賛の要求の定義の「褒められるために」の部分です。
この段階の子どもたちは教師や周囲の友達に褒められるために良い行動を行っているのであって、心の底から自発的に良い行動を行っている訳ではないのです。
ですから、自分が良い行動を取ったのにも関わらず、周りから自分が望んだ称賛が得られないと不満やストレスが溜まり次の段階に移行していくのです。
そういった子どもに対しては、良い行為をした後に教師から「ありがとう!」と感謝を伝えることです。
褒めるわけではなく、感謝を伝えることで、子どもたちに周りからの評価で自分の価値を決めるのではなく、ありのままの自分を自分で価値づけられるような子どもにしていきましょう。
2.注目喚起
問題行動の第1段階は賞賛の要求でした。2つ目の段階は注目喚起です。
第1段階の称賛の要求において良いことをしたのに賞賛されなかった、良いことが何なのか分からない子どもたちは、この第2段階の注目喚起に移行します。
注目喚起とは、要は「何でもいいから私のことを見て!注目して!」といった行動・言動です。
例えば必要以上にクラスで騒いでみせる、周囲と違うことをして目立とうとする(全校朝会などのOX問題などで、もの凄く簡単な問題でもわざと違う方に手を挙げる子がいますよね。)というものです。
こういった子がいると、授業で「冬は寒いですよね。」と聞いても「えぇー、オレは寒くないよ笑!」とか、クラスの子が真面目に体育を行っている時などにふざけている様子などがつい目に入ってきてしまいます。
教員の方の中にはそういった行動にストレスを感じる方も多いのではないでしょうか。
但し、この段階の子どもたちの要求はあくまで周囲からの注目であり、問題を起こそうと思っているわけではないと認識することが大切です。
ですから我々教師にできることは子どもたちに建設的な手段で目立つ方法を示してあげることが必要です。
例えば声が大きい子には号令や呼びかけを行う役を任せる。すぐに手が出てしまうが、体を動かすことが大好きな子には休み時間に行うクラス遊びのルールや運営を任せてみるなどです。
こうした対応で適切な方法で自分の居場所を確保するやり方を示してあげましょう。
3.権力争い
3つ目の段階は権力争いです。これは学校で言うとクラス内での主導権争いのようなものです。
この段階の子どもは、教師の言葉や指示に対して、無作為に反発し自分の意見を通そうとしてくるのです。
この段階の子どもたちは、自分の意見と違うから反対の意を唱えるのではなく、教師が言ったことに反対しようという気持ちを前提として、反対の意見を引っ張り出してきている感じです。
例えば、大縄の練習をしよう!とクラスに声かければ、めんどくさいからやりたくない、「大縄苦手な子は楽しめないじゃないですか。」と声をあげて、「休み時間なんだから自由に遊びたいです。」と教師の意見と真逆の意を唱え、自分の意見に主導権を引っ張ってくるでしょう。
教師は、子どもの権力争いを察知したら、同じ土俵に上がってはいけません。同じ土俵に上がった時点で子どもの権力争いに戦いを挑むことになるからです。
4.復讐
権力争いに敗れ、自分が主導権を握れないと分かった子が取る4つ目の段階は復讐です。
これはとにかく相手が嫌がることをしようという発想の元の行動原理です。
積極的な子は教師のあらゆることを否定、攻撃、反発してきます。また消極的な子は徹底的に不従順になり、学業生活全般でだらだらと覇気のない生活を行おうとします。
この段階までいくと教師1人の力で改善するのは難しく、スクールカウンセラーや他の教師などの他者に介在してもらうことが必要となってきます。
5.無能の証明
5つ目の段階は無能の証明です。賞賛の要求でも注目喚起でも権力争いでも復讐のどの段階でも自分の居場所をクラスに見いだすことができず、絶望してしまった子は深い自己嫌悪に陥ります。
そして自分の無能さを証明するかのように私に何も期待しないでくれというメッセージを周りに向けて発信するのです。今までできていた人間関係や容易な問題にすら取り組もうとせず、あらゆることに意欲を無くし、ただただ無気力に過ごすのです。
ここまでくると精神科などの専門的なアプローチを有する段階です。われわれ教師にできることは少ないでしょう。
最後に
子どもの問題行動どうでしたでしょうか?冒頭にも記述したとおり子どもの問題行動を目にしたときには、それが問題行動の第何段階目に当たるか考え適切な対応ができるようにしましょう。
しかし、復讐や無能の証明の段階にいたると1人の教師にできることは少なっきます。ですから教師は第2段階の注目歓喜まで、少なくなとも権力争いの段階までで対処することが求められます。
余談ですが幸せになる勇気によれば、ほとんどの子は第2段階の注目喚起に留まると書かれています。
実際私も学級崩壊しかけたクラスで権力争いをしている子を見たことがありますが、無能の証明の段階の子には教員生活をしてからもただの1人も出会っていません。
適切な対応を知って、今後も、スマートな教員を目指していきましょう!
では、また。次の記事で Thank you