子どものぼんやり言葉を駆逐せよ! ボキャブラリー向上のすすめ

子どものぼんやり言葉を駆逐せよ! ボキャブラリー向上のすすめ

 今回は、「子どものぼんやり言葉を駆逐せよ! ボキャブラリー向上のすすめ」と題して

子どものボキャブラリー・語彙の向上について話していきます。

まず初めに結論です。

結論:「子どもは、ぼんやりと覚えている言葉が多数存在する」

ぼんやり言葉とは、私の造語で、

ぼんやりと理解はしているけど、正直どういう意味かは、よく分かっていない言葉のことを指します。

この結論を元にして、

子どものぼんやり言葉に気付いたきっかけ

子どもが知らなかったぼんやり言葉の一例

子どものボキャブラリーを増やす方法

について解説していきたいと思います。

それではさっそくいってみましょう!

 

子どものぼんやり言葉に気付いたきっかけ

 子どものぼんやり言葉に気付いたのは、毎日行っている読み聞かせの時の出来事からでした。

前提として私の読み聞かせはダイアロジック・リーディングという手法で行っています。

これは、話し手が一方的に読み上げ、聞き手は黙ってじっと聞いているというものではなく、

話を聞きながら子どもたちは自由に感想を言い合います。

具体的には、場面場面で、私から

「この後どうなると思う?」

「みんなだったらどうしてる?」

「なんで、この子は怒っているんだろうね?」

と問いかけ、子どもたちが自由に発言しながら読んでいます。

 

ここで紹介したダイアロジックリーディングについて詳しく解説している記事はこちら。

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そんな子どもが自由に発言できる雰囲気で読み聞かせをしていると毎回、

「先生、〇〇ってどういう意味ですか?」

と子ども達から本文の言葉についての質問がきます。

もちろん絵本は、低学年向けの絵本ですが、その本文の中には

子どもがなんとなくでしか理解できていない、言葉が多数存在することが分かりました。

おそらく1人で読んでいる時には、読み飛ばすか物語の前後から推測しているのだと思います。

分からない言葉を推測することも大事な力ですが、

やはり、どこかのタイミングで正しい意味を知ってほしいものです。

子どものボキャブラリー向上のためにも、読書や人との会話の中から

たくさんの言葉に触れて、知っている・使える言葉を増やして欲しいと願うばかりです。

子どもが知らなかった言葉一覧

 あくまでも参考に、ということで、

私のクラスの1年生が知らなかった言葉を紹介します。

もちろんクラス差や個人差、地域差など、あらゆる変数が絡んでくると思うので、

「へぇー、意外とこういう言葉を分かっていない子もいるのか」程度で参考にしてください。

 

頬張る、映画のスター、スカウト、時として、見どころ、滅ぶ、滅亡、

引っ張りだこ、命からがら、誇り、果てしない、入れ代わり、1番名高い大工、

えらく大きな声で、景気良く、トグロを巻く、号令、稲妻、決心、吸血鬼、

きりさくように、時折、少女、かわりばんこに 

(もちろん絵本の本文中では平仮名で書かれています。)

 

どうでしょうか。

意外とこんな言葉を子ども達は知らないんだ、とびっくりされた方も多いのではないでしょうか。

もちろん、これらの言葉を知っている子もいるでしょうし、

知らない・分からないといった子ども達の中でも

全く知らない子から、なんとなく意味は分かる子まで様々な段階が存在しているでしょう。

 

ボキャブラリー向上のために準備ゼロで行える4つの実践

 この章では、子どものボキャブラリー向上のために私が行っている実践を4つ紹介します。

どの実践も準備物などはなく、ちょっとした言葉かけや意識の問題なので、

すぐに取り入れることができるでしょう。

 

子どもだからといって簡単な言葉ばかり使わない。

 みなさんは、普段子ども達にどんな言葉を使っているでしょうか。

基本となるのは、その子ども達の発達段階において、分かり易い言葉かと思います。

しかし、子どもの学習能力は凄いもので、例え難しい言葉であっても、

毎日のように繰り返し教えれば理解することが可能なのです。

例えば、私は授業の中で挨拶をしないで授業を終える時は、

「挨拶は”割愛”するので、5分休憩にしてください。」

と1年生であっても言います。

もちろん、初めての時は”割愛”なんて言葉は誰も知りませんから

割愛というのは〜という意味なんだよ、

と説明する必要があります。

ですが、そんな説明も最初の1、2回です。

毎日、毎日、言葉のシャワーを浴びせてあげれば、

子ども達の脳は乾いたスポンジのごとく、

新しい言葉を浸透させていくことでしょう。

アクションプラン

・説明したうえで、あえて難しい言葉を使ってみる

 

言葉の言い換えトレーニング

普段の授業の中で心掛けているのは、言葉の言い換えトレーニングとして

「簡単に言うと?」「難しく言うと?」「他の言葉で言うと?」です。

具体例として、以下の3つを挙げてみました。

「後ろめたい気持ち」という言葉を簡単な言葉に言い換え。

「この“後ろめたい気持ち”って言葉を簡単に言える人はいるかな?」

「びっくりする」という言葉を難しい言葉に言い換え

「“びっくりする”ってもっと難しい言葉でなんて言うか知ってる?」

「楽しい」という言葉を他の言葉に言い換え

「“楽しい”っていう言葉を使わずに楽しいって気持ちを表現する言葉ってあるかな。」

 

 こういった言葉の言い換えトレーニングを使えば、多様な言葉に触れさせてあげられるでしょう。

是非、授業や普段の会話の中で、様々な言葉で言い換えられるか問いかけることを習慣にしてみましょう。

アクションプラン

・説明したうえで、あえて難しい言葉を使ってみる

 

子どもが聞きやすい雰囲気を作る

 これは学級経営全体に言えることですが、

分からないことを素直に先生や友達に聞けるということは、とても大事な能力である

と私は考えています。

この言葉ってどういう意味なんだろう、気になるな。

でも、これを聞いたら怒られるかな、知らないのがバレて恥ずかしい思いをしないかな。

気になるけど、質問するのは止めておこうかな。

そうなってしまっては、せっかくの子どもの好奇心に蓋をしてしまうことになります。

子どもが勇気をもって、

「先生、この言葉ってどういう意味ですか?」

と聞いてきたときには、無下にせず

「聞いてくれてありがとう。おかげでこの言葉を知らない他の子も助かるだろうね。実は○○っていう言葉は~」

と感謝や他の子にとっても有益であるということを伝え、

分からない言葉を聞くことは良いことなんだという価値観を伝えましょう。

そういった繰り返しの中で、

分からない言葉はどんどん聞いていいんだ!

という雰囲気を作り上げることができるでしょう。

アクションプラン

・子どもの質問に感謝を伝える

 

子ども自身に説明させる

 子どもの中には、教師もびっくりの難しい言葉を知っている子が存在します。

子どもが難しい言葉を発言して、周りの子がポカーンとしている時はチャンスです。

その発言した子に

「□□くん、○○っていう言葉はどういう意味なの?」

と質問して、

子ども自身に言葉の説明を任せてみましょう。

もちろん、説明をするのは、発言した子でなくても構いません。

発言する子が意味を詳しく理解していないようなら

「この言葉を分かりやすく説明できる人いる?」

とクラスに投げかけてみましょう。

大事なことは、子ども自身が説明するということです。

これは、勉強全てに言えることですが、

自分がアウトプットした内容というものは非常に記憶に定着しやすいです。

なんとなく覚えていた、使っていた言葉も自分の言葉で説明しようとすると

改めて言葉の意味を振り返り、他の言葉に当てはめる必要が出てきます。

教師が全て説明するのではなく、子どもに委ねる場面を意識的に増やしていくと良いでしょう。

アクションプラン

・「この言葉を説明できる人いる?」と聞く

 

 

終わりに

 「子どものぼんやり言葉を駆逐せよ! ボキャブラリー向上のすすめ」 

いかがだったでしょうか。

「美味しい」と使わずに食べ物の美味しさを文字にする。

「悲しい」と使わずにショックな出来事の悲しさを伝える。

語彙を増やすとは、そのまま表現力の豊かさに繋がると思います。

子どもに馴染みのある言葉だけで書かれている絵本は、それはそれで素晴らしい絵本です。

しかし、時には子どもにとって”?”が浮かぶような、ぼんやり言葉が出てくる絵本と出会い、

それを友達や教師や保護者に聞いて理解する。

そんなやり取りができるようになってくると

言葉の引き出しが増えていくことになるでしょう。

 

これからも子どもたちと絵本を通して良好な人間関係を築き、

スマートな教員を目指していきましょう!

では、また。次の記事で  Thank you!

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